ご来店ありがとうございます。新刊発売予定のお知らせです。

2025年4月18日(金)、遠藤侑介著『型システムのしくみ ― TypeScriptで実装しながら学ぶ型とプログラミング言語』の発売を予定しています。なお、2025年4月16日(水)から開催されるRubyKaigi 2025会場のBOOKSTOREにて、著者サイン会に合わせた先行発売を予定しています(紙書籍のみ。部数には限りがあります)。ジュンク堂池袋本店様でも4月16日から販売していただける予定です。
『型システムのしくみ』について
多くのプログラミング言語では、さまざまな場面で「型」が登場します。特に静的型付き言語では、プログラムを実行せずに潜在的な問題をあぶり出す「型検査」の有用性が広く知られるようになりました。最近では動的型付き言語でも、型ヒントや静的解析ツールとして、この機能を部分的に取り入れる動きがあります。
型検査の背景には「型システム」の理論があります。この理論の概略を、TypeScriptによる型検査器の実装を通して垣間見ようというのが、本書『型システムのしくみ』です。
本書の前半では、まず単純なプログラミング言語の機能(条件分岐や関数、変数など)に対する型システムを考えます。さらに後半では、より複雑で柔軟な値を表現するための型(オブジェクト型、再帰型)や、汎用性のある型でコードの再利用を容易にする方法(部分型付け、ジェネリクス)にも踏み込みます。タグ付きunion型のような機能についても練習問題として紹介します(練習問題には解答もあります)。
いずれの機能もTypeScriptのサブセット言語という形で実装していきます。TypeScript自体の型システムと同一ではありませんが、機能の背景にある型システムの考え方を知ることでTypeScript自体への理解も深まるはずです。
多くのプログラマーの方には、TAPLの愛称で知られる『型システム入門』に挑む足がかりとしても最適です。実際、各章には「その章の説明がTAPLの何章に相当するのか」も付記されています。本書で「型とプログラミング言語」の入口を楽しみましょう!
※本書は『n月刊ラムダノートVol.4, No.3(2024)』に掲載された記事「TypeScriptではじめる型システム」を基に内容の見直しと加筆を施して書籍として刊行するものです。